量産型な普通の人の日常

世の中でいうところの普通の人です。それなりに普通の生活をしています。https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/3LR98WWF2T89?ref_=wl_share

”普通”に就職できた、と思っていた話

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今から10年くらい前の話になる。

大学4年の春、世間では名の知れた大手民間企業の総合職に内定をもらった。

 

元々はグランドスタッフ(空港職員)を夢見ていたが、カウンター業務の激務さや、そもそも派遣社員でまかなっていることが多いというリアルな現実を知り、結局父親と同じ某インフラ業界で就活をし、父親の同業他社に就職することとなった。

 

就職して1年目、初めての繁忙期で飛んだ。

逃走(遁走)して無断欠勤をしたのである。

 

いま思えば、自分の業務知識では処理しきれない量と、職場の人間関係が上手くいかなかったことなど、様々な要因が重なり合った結果だったとは思う。

 

ある日、職場最寄りのバス停で降りたが職場に足が向かず、そのままあてもなく歩いて駅まで向かい、電車に乗ってあてもなく遠くへ行った。

 

その時の心理状態は「とにかく物理的に遠くへ逃げたい」だったと思う。

休日でも会社携帯は手放せず、自分が担当の案件でクレームがあれば対応を迫られた。客の前で土下座をしたこともある。弁償しろと言われ自腹を切ったこともある。

ある日糸が切れたように無気力になり、全てを投げ出したくなった。そして本当に全てを投げ出した。

 

一週間ほど無断欠勤し、当時住んでいた実家にも帰らなかった。神奈川からはるばる名古屋まで行って、漫画喫茶やホテルを転々としていた。

 

返ってきた後は管理部門に呼び出され、反省文程度で済んだが、その1年後に窓際部署に左遷された。

 

それでも親戚からは「〇〇に就職できてすごい!」と言われるが、窓際部署で残業もないので、手取りは15~6万くらいだった。

 

そんなこんなで5年目になったとき、同業他社の父親から「お前のところの〇〇支店長とゴルフ一緒にまわったぞ」と言われた。

 

業界内でそういう繋がりもあるんだなと思っていたが、続けて父が「お前もそろそろ海外転勤とかしたいだろ、支店長に言っておいたぞ。メキシコあたりを薦めといた」と言う。

 

そして後日、本当にそれらしい異動の話を支店長から聞かされる。

つまり、同業他社でありながら、父親が息子の人事権の一端を握っていたのである。

 

それを実感したとき、何とも言えぬ気持ち悪さと、そもそも自分はコネ入社だったのではという気持ちがよぎった。

 

自分で普通に就活をして、普通に勝ち取ったと思っていた内定が、そうではなかったかもしれないという不安が、自分の中によぎった。

 

それを機に、一気に転職への想いが加速していく。

今日はここまで。